【私的大河ドラマ論~「どうする家康」によせて】
2023年11月09日
本年の大河ドラマも残り話数も僅かとなり、史上名高い“関ケ原”から“大坂の陣”へクライマックスを迎えます。
ほぼ全ての主要キャラも登場、ここで僭越ながら、恒例のドラマ批評といきたく思います。
戦国期は、綺羅星の如き英雄、傑物排出の時代ですが、その殆どは志半ばで途中退場を余儀なくされます。
従って、戦国合戦華々しき頃から、天下が治まるまで生き抜いた大物武人は家康唯一と言えます。
それ故、初回よりここまで、演じる役者さんはともかく、実在の人物は常に著名な武将が現れ、飽きることがありませんでした。
また、脚本を担当された方が、昨今の研究の成果でアップデートされた新説を適宜採用されたことは、マニア泣かせでありました。
ですから、前作「徳川家康」より40年振りに描かれた今作は、面白かったと感じています。
ただ登場人物の余りの多さから、群像劇としてもいささかキャラの設定が濃過ぎました。
それが戦国と言う時代のリアリティを、大きく削いだように感じます。
あとひとつ難を言えば、演じた女優さんのイメージ保全のためか、余りにキレイごとでまとめられたのも残念でなりません。
しかし一年、あ~だこ~だ突っ込みながらも、楽しませて頂けましたことは幸甚の一言につきます。
来年は、ハナから関心のない時代が描かれるため、この辛口批評の拙稿も出番はなさそうです。